▽ブータンの朝日に夢をのせて

小暮正夫・作 こぐれけんじろう・絵の『ブータンの朝日に夢をのせて 〜ヒマラヤの王国で真の国際協力をとげた西岡京治の物語〜』の感想ページです。

ブータンの朝日に夢をのせて 表 ブータンの朝日に夢をのせて 裏
小暮正夫・作 こぐれけんじろう・絵

出版社名:くもん出版
出版年月:1996年12月
ISBNコード:4774300950
価格:1,260円(税込)

あらすじ

 一九九二年三月、ヒマラヤの山やまにいだかれたブータン王国で、ひとりの日本人のお葬式がいとなまれていました。その人の名は、西岡京治。

 日本から夫人の里子と共にやってきて二八年目、京治はこの地で生涯をとじたのです。国王を始め、あらゆるブータン国民が、京治の死をかなしみ、なみだをながしました。西岡京治は、ブータンの人びとに心から愛された日本人です。

(表紙折り返しより引用)

感想

くもん出版の本を買うなんて何年ぶりだろう? いや、そもそも、以前にくもん出版の本をかったことがある自分もどうかと思うけど(笑)

本の内容は単純に京治がネパールでどんな貢献をしたかを書いたものではなく、京治の少年時代からブータンに行くまで、そしてブータンに着いてからの苦労など、その一生についてまとめた内容になっている。いわゆる「エジソン」とか「野口英世」とかの子供向け伝記と同様の構成。

京治が子供の頃どうだったのか、どうしてブータンに興味を持つようになったのかなどわかりやすくまとめてあっておもしろい。子供向けだけど・・・ 最近の馬鹿な大人にはこういう本がちょうどいいのかもなぁ。っていうか、馬鹿な大人はこういう本すら読まずに時間を過ごしてるんだろうな。たぶん。

もちろん、この本のメインは京治がブータンに渡ってからの話である。最初、ブータンでどれだけ苦労したか。そして、どのようにして周りの人たちに受け入れられ、結果としてブータンにものすごく貢献することになったあたりの話。自分を捨て、ブータンのために働いた結果、ブータンの人々から本当に愛されるようになったのがよく伝わってくる。

ブータンという国のことについてもいろんな面がかいつまんで理解できる。以前は、首相が暗殺されるような不安定な情勢だったこと。子供たちが学校に通う率は低かったけど、それでも英語を中心とした授業をしっかりと行っていること。なにより、美しい自然や風景、実直で素直な人柄が残されている国であること。

古き良き日本としていまでは忘れ去られた光景と、徐々に近代化されつつある暮らしってところかな。新しい国王は考え方もしっかりしている用だし、『国民総幸福量(Gross National Happiness)』の方針を忘れないでいてくれれば、将来は日本なんか足元にも及ばないほど立派な国になるかも。

京治は日本のやり方を押しつけるのではなくて、まず、自分が行動でいいやり方を示してそれをブータンの人に理解してもらった。必要なら何度でも徹底的に話し合った。そして、単に農業技術を教えるのではなく、将来を見据えてその技術を使うための人を育てた。人を育てるための環境づくりに尽力した。そういった、本当の意味でのブータンへの貢献がブータンの人々に理解されて愛されたんだろうと言うことがよく伝わってくる。

だからこそ、"ダショー"の称号が授けられたんだろう。"ダショー・ニシオカ"は真の国際貢献をなした数少ない日本人のうちのひとり。国民栄誉賞はこういう人にこそふさわしいと思うんだけど、人気取りにしか使われない賞だから仕方がないか。

心の豊かな国ブータンと、その国を愛し、その国のために生涯を尽くした西岡京治のことがよく伝わってくる良い本。自信を持って子供に進めて良い一冊。

あと、西岡京治を知るきっかけを与えてくれたTBSの"世界ふしぎ発見"にも感謝。

(´-`).。о〇(まぁ、最近の子供はこういう本は好きじゃないのかなぁ)


[Book] Presented by ta3 [2004/11/22]